手術手技

鏡視下Bankart修復術

鏡視下Bankart(バンカート)法とは?

 手術は全身麻酔下にて行います。前述の剥離した関節包の付着部(関節上腕靭帯関節唇複合体)を正常の位置の関節窩の縁に縫合するのがBankart法です。この際、アンカーという糸の付いた楔(くさび)を関節窩の骨に3、4ヶ所打ち込み、この糸を利用し縫合します。アンカーは吸収される材質の物を使用していますので、骨内に異物として残りません。以上の操作を3カ所前後の皮膚切開で、関節鏡視下で行っています。

 また稀な病態である、関節包断裂やHAGL病変の場合は上記の方法とは異なりますが、関節鏡で修復可能です。

術後経過は?

 入院期間は約3〜5日です。術後、約10日前後で抜糸を行います。術後は三角巾を2〜3週装着していただきます。リハビリテーションは術後早期より開始し、週1回程度のリハビリテーション通院を要します。術後約2ヵ月で日常生活動作の制限がなくなります。ランニングは術後約6週から、スポーツ復帰は種目により異なりますが、3〜4ヵ月以降(ラグビー、アメフトなどは6ヵ月以降)から許可しています。

 本手術は前任の大学病院にて500例以上の手術経験があり、術後成績は安定していますが、約5%に術後再脱臼が認められます。(正常の肩でも脱臼をする訳ですので、術後の再脱臼の可能性もあります)

 特に再脱臼のリスクが高いスポーツ種目はラグビー、アメフト、柔道、レスリング、アイスホッケー、スノーボードであり、これらのスポーツ活動を積極的に継続する方は再脱臼率が低く、復帰までの期間の短い関節鏡視下バンカート&ブリストウ変法をおすすめしています。


鏡視下Bankart & Bristow変法

 当院では世界的にスタンダードな方法である鏡視下バンカート法を行っております。しかし、コンタクトスポーツ(ラグビー、アメフト、柔道、レスリングなど)の選手では復帰後再脱臼の危険性が非常に高く認められております。当院ではバンカート法にブリストウ法を加えたバンカート&ブリストウ法を鏡視下手術で行っております。

鏡視下Bankart(バンカート)&Bristow(ブリストウ)法とは?

 手術は全身麻酔下にて行います。前述の剥離した関節包の付着部(関節上腕靭帯関節唇複合体)を正常の位置に縫合するのがBankart修復術です。この際、アンカーという糸の付いた楔(くさび)を関節窩に打ち込み、この糸を利用し縫合します。アンカーは吸収される材質の物を使用していますので、骨内に異物として残りません。

 この手技に加え、烏口突起という骨を先端から約1.5cmで切離し、関節窩の内側に移動させチタン性のスクリューで固定します。この際、肩の前方にある肩甲下筋という筋肉の下半分を押さえるようにします。骨片そのもの、骨片に付着している共同腱、肩甲下筋により前方への制動効果が得られます。

 Bankart&Bristow法はこのように、バンカート法による解剖学的修復とブリストウ法による腱、筋肉、骨の制動効果が一度に得られるため、正常な肩関節以上の強力な脱臼防止力が得られる訳です。

 当院では通常10cm以上の切開を入れて行う以上の操作を日本で唯一関節鏡視下で行っています。これにより大きく切る直視下法にくらべ筋肉の損傷が小さいため、術後の疼痛が少なく、動きの回復も早いという利点があります。コンタクトスポーツ選手を対象に行っているにもかかわらず、本術式は2012年現在までで再脱臼率は0%です。

術後経過は?

 入院期間は3~5日間です。術後は三角巾を3週装着していただきます。リハビリテーションは術後数日より開始し、退院後、週1回程度のリハビリテーション通院を要します。術後約2ヵ月で日常生活動作の制限がなくなります。ランニングは術後約4週〜6週から、コンタクトプレーは術後3ヵ月から、スポーツ復帰(試合に出る)は術後4ヵ月を目標とします。(通常の手術では約半年)

  本法はあらゆる手術法のなかでも再脱臼率が低い方法ですが、この制動効果を上回るような外力では再脱臼の危険性があります。

鏡視下バンカート&ブリストウ法の手術手技
(Arthroscopic Bankart & Bristow procedure)の動画

ページの先頭へ


ページの先頭へ